This the multi-page printable view of this section. Click here to print.

Return to the regular view of this page.

コンテナ

アプリケーションとランタイムの依存関係を一緒にパッケージ化するための技術

実行するそれぞれのコンテナは繰り返し使用可能です。依存関係を含めて標準化されており、どこで実行しても同じ動作が得られることを意味しています。

コンテナは基盤となるホストインフラからアプリケーションを切り離します。これにより、さまざまなクラウドやOS環境下でのデプロイが容易になります。

コンテナイメージ

コンテナイメージはすぐに実行可能なソフトウェアパッケージで、アプリケーションの実行に必要なものをすべて含んています。コードと必要なランタイム、アプリケーションとシステムのライブラリ、そして必須な設定項目のデフォルト値を含みます。

設計上、コンテナは不変で、既に実行中のコンテナのコードを変更することはできません。コンテナ化されたアプリケーションがあり変更したい場合は、変更を含んだ新しいコンテナをビルドし、コンテナを再作成して、更新されたイメージから起動する必要があります。

コンテナランタイム

コンテナランタイムは、コンテナの実行を担当するソフトウェアです。

Kubernetesは次の複数のコンテナランタイムをサポートします。 DockercontainerdCRI-O、 および全ての Kubernetes CRI (Container Runtime Interface) 実装です。

次の項目

1 - コンテナの概要

コンテナは、アプリケーションの(コンパイルされた)コードと、実行時に必要な依存関係をパッケージ化するための技術です。実行する各コンテナは再現性があります。依存関係を含めることによる標準化は、どこで実行しても同じ動作が得られることを意味します。

コンテナは、基礎となるホストインフラストラクチャからアプリケーションを切り離します。これにより、さまざまなクラウド環境やOS環境でのデプロイが容易になります。

コンテナイメージ

コンテナイメージは、アプリケーションを実行するために必要なすべてのものを含んだ、すぐに実行可能なソフトウェアパッケージです。コードとそれが必要とする任意のランタイム、アプリケーションとシステムのライブラリ、および必須の設定のデフォルト値が含まれています。

設計上、コンテナは不変であるため、すでに実行中のコンテナのコードを変更することはできません。コンテナ化されたアプリケーションがあり、変更を加えたい場合は、変更を含む新しいコンテナをビルドし、コンテナを再作成して更新されたイメージから起動する必要があります。

コンテナランタイム

コンテナランタイムは、コンテナの実行を担当するソフトウェアです。

Kubernetesは次の複数のコンテナランタイムをサポートします。 DockercontainerdCRI-O、 および全ての Kubernetes CRI (Container Runtime Interface) 実装です。

次の項目

2 - イメージ

コンテナイメージはアプリケーションと依存関係のあるすべてソフトウェアをカプセル化したバイナリデータを表します。コンテナイメージはスタンドアロンで実行可能なソフトウェアをひとつにまとめ、ランタイム環境に関する想定を明確に定義しています。

アプリケーションのコンテナイメージを作成し、一般的にはPodで参照する前にレジストリへPushします。

このページではコンテナイメージの概要を説明します。

イメージの名称

コンテナイメージは、pauseexample/mycontainer、またはkube-apiserverのような名前が通常つけられます。 イメージにはレジストリのホスト名も含めることができ(例:fictional.registry.example/imagename)、さらにポート番号も含めることが可能です(例:fictional.registry.example:10443/imagename)。

レジストリのホスト名を指定しない場合は、KubernetesはDockerパブリックレジストリを意味していると見なします。

イメージ名の後に、タグ を追加することができます(dockerpodmanのようなコマンドを利用した場合と同様)。 タグによって同じイメージの異なるバージョンを識別できます。

イメージタグは大文字と小文字、数値、アンダースコア(_)、ピリオド(.)とマイナス(-)で構成されます。 イメージタグでは区切り記号(_-.)を指定できる追加ルールがあります。 タグを指定しない場合は、Kubernetesはlatestタグを指定したと見なします。

注意:

本番環境でコンテナをデプロイする場合は、latestタグの使用を避けるべきです。 実行中のイメージのバージョンを追跡するのが難しく、機能しているバージョンへのロールバックがより困難になるためです。

かわりに、v1.42.0のような特定できるタグを指定してください。

イメージの更新

デフォルトのpull policyでは、kubeletはイメージを既に取得済みの場合、イメージのPullをスキップさせるIfNotPresentが設定されています。 常にPullを強制させたい場合は、次のいずれかの方法で実行できます。

  • コンテナのimagePullPolicyAlwaysを設定する
  • imagePullPolicyを省略し、使用するイメージに:latestタグを使用する
  • imagePullPolicyと使用するイメージのタグを省略する
  • AlwaysPullImagesアドミッションコントローラーを有効にする

imagePullPolicyが値なしで定義された場合、この場合もAlwaysが設定されます。

マニフェストを使ったマルチアーキテクチャイメージ

コンテナレジストリはバイナリイメージの提供だけでなく、コンテナイメージマニフェストも提供する事ができます。 マニフェストはコンテナのアーキテクチャ固有バージョンに関するイメージマニフェストを参照できます。マニフェストの目的はイメージの名前(例:pauseexample/mycontainerkube-apiserver)をもたせ、様々なシステムが使用しているマシンアーキテクチャにあう適切なバイナリイメージを取得できることです。

Kubernetes自身は、通常コンテナイメージに-$(ARCH)のサフィックスを持つ名前をつけます。下位互換の為にサフィックス付きの古い仕様のイメージを生成してください。その目的は、pauseのようなすべてのアーキテクチャのマニフェストを持つイメージと、サフィックスのあるイメージをハードコードしていた可能性のある古い仕様の設定やYAMLファイルと下位互換があるpause-amd64のようなイメージを生成することです。

プライベートレジストリを使用する方法

プライベートレジストリではイメージを読み込む為にキーが必要になる場合があります。
認証情報はいくつかの方法で提供できます。

  • プライベートレジストリへの認証をNodeに設定する
    • すべてのPodがプライベートレジストリを読み取ることができる
    • クラスター管理者によるNodeの設定が必要
  • 事前にPullされたイメージ
    • すべてのPodがNode上にキャッシュされたイメージを利用できる
    • セットアップするためにはすべてのNodeに対するrootアクセスが必要
  • PodでImagePullSecretsを指定する
    • キーを提供したPodのみがプライベートレジストリへアクセスできる
  • ベンダー固有またはローカルエクステンション
    • カスタムNode構成を使っている場合、あなた(または、あなたのクラウドプロバイダー)はコンテナレジストリへの認証の仕組みを組み込むことができる

これらのオプションについて、以下で詳しく説明します。

プライベートレジストリへの認証をNodeに設定する

Node上でDockerを実行している場合、プライベートコンテナレジストリへの認証をDockerコンテナランタイムに設定できます。

Node構成を制御できる場合は、この方法が適しています。

備考: KubernetesはDocker構成のauthsHttpHeadersセクションのみをサポートしています。 Docker認証情報ヘルパー(credHelpersまたはcredsStore)はサポートされていません。

Dockerは、$HOME/.dockercfgまたは$HOME/.docker/config.jsonファイルの中に、プライベートレジストリのキーを保持します。 下記リストの検索パスに同じファイルを配置した場合、kubeletはイメージをPullする時に認証情報プロバイダーとして利用します。

  • {--root-dir:-/var/lib/kubelet}/config.json
  • {cwd of kubelet}/config.json
  • ${HOME}/.docker/config.json
  • /.docker/config.json
  • {--root-dir:-/var/lib/kubelet}/.dockercfg
  • {cwd of kubelet}/.dockercfg
  • ${HOME}/.dockercfg
  • /.dockercfg
備考: kubeletプロセスの環境では、明示的にHOME=/rootを設定する必要がある場合があります。

以下は、プライベートレジストリを使用する為にNodeを構成する推奨の手順です。この例では、デスクトップ/ノートPC上で実行します。

  1. 使用したい認証情報のセット毎に docker login [server]を実行する。これであなたのPC上の$HOME/.docker/config.jsonが更新される
  2. 使用したい認証情報が含まれているかを確認するため、エディターで$HOME/.docker/config.jsonを見る
  3. Nodeの一覧を取得 例:
    • 名称が必要な場合: nodes=$( kubectl get nodes -o jsonpath='{range.items[*].metadata}{.name} {end}' )
    • IPアドレスを取得したい場合: nodes=$( kubectl get nodes -o jsonpath='{range .items[*].status.addresses[?(@.type=="ExternalIP")]}{.address} {end}' )
  4. ローカルの.docker/config.jsonを上記の検索パスのいずれかにコピーする
    • 例えば、これでテストを実施する: for n in $nodes; do scp ~/.docker/config.json root@"$n":/var/lib/kubelet/config.json; done
備考: 本番環境用クラスターでは、構成管理ツールを使用して必要なすべてのNodeに設定を反映してください。

プライベートイメージを使用するPodを作成し確認します。 例:

kubectl apply -f - <<EOF
apiVersion: v1
kind: Pod
metadata:
  name: private-image-test-1
spec:
  containers:
    - name: uses-private-image
      image: $PRIVATE_IMAGE_NAME
      imagePullPolicy: Always
      command: [ "echo", "SUCCESS" ]
EOF
pod/private-image-test-1 created

すべてが機能している場合は、しばらくしてから以下のコマンドを実行します。

kubectl logs private-image-test-1

コマンドの結果を確認してください。

SUCCESS

コマンドが失敗したと思われる場合には、以下を実行します。

kubectl describe pods/private-image-test-1 | grep 'Failed'

失敗している場合、結果が次のようになります。

  Fri, 26 Jun 2015 15:36:13 -0700    Fri, 26 Jun 2015 15:39:13 -0700    19    {kubelet node-i2hq}    spec.containers{uses-private-image}    failed        Failed to pull image "user/privaterepo:v1": Error: image user/privaterepo:v1 not found

クラスターのすべてのNodeが同じ.docker/config.jsonになっているかを確認する必要があります。 そうでない場合、Podは一部のNodeで実行できますが他のNodeでは実行に失敗します。 例えば、Nodeのオートスケールを使用している場合、各インスタンスのテンプレートに.docker/config.jsonが含まれている、またはこのファイルが含まれているドライブをマウントする必要があります。

プライベートレジストリキーを.docker/config.jsonに追加した時点で、すべてのPodがプライベートレジストリのイメージに読み取りアクセス権も持つようになります。

事前にPullしたイメージ

備考: Node構成を制御できる場合、この方法が適しています。 クラウドプロバイダーがNodeを管理し自動的に設定を置き換える場合は、確実に機能できません。

デフォルトでは、kubeletは指定されたレジストリからそれぞれのイメージをPullしようとします。 また一方では、コンテナのimagePullPolicyプロパティにIfNotPresentNeverが設定されている場合、ローカルのイメージが使用されます。(それぞれに対して、優先的またはか排他的に)

レジストリ認証の代替として事前にPullしたイメージを利用したい場合、クラスターのすべてのNodeが同じ事前にPullしたイメージを持っていることを確認する必要があります。

特定のイメージをあらかじめロードしておくことは高速化やプライベートレジストリへの認証の代替として利用することができます。

すべてのPodは事前にPullしたイメージへの読み取りアクセス権をもちます。

PodでImagePullSecretsを指定する

備考: この方法がプライベートレジストリのイメージに基づいてコンテナを実行するための推奨の方法です。

KubernetesはPodでのコンテナイメージレジストリキーの指定をサポートしています。

Docker Configを利用してSecretを作成する。

適切な大文字の値を置き換えて、次のコマンドを実行します。

kubectl create secret docker-registry <name> --docker-server=DOCKER_REGISTRY_SERVER --docker-username=DOCKER_USER --docker-password=DOCKER_PASSWORD --docker-email=DOCKER_EMAIL

既にDocker認証情報ファイルを持っている場合は、上記のコマンドの代わりに、認証情報ファイルをKubernetes Secretsとしてインポートすることができます。 既存のDocker認証情報に基づいてSecretを作成する で、この設定方法を説明します.

これは複数のプライベートコンテナレジストリを使用している場合に特に有効です。kubectl create secret docker-registryはひとつのプライベートレジストリにのみ機能するSecretを作成するからです。

備考: Podは自分自身のNamespace内にあるimage pull secretsのみが参照可能であるため、この作業はNemespace毎に1回行う必要があります。

PodのimagePullSecretsを参照する方法

これで、imagePullSecretsセクションをPod定義へ追加することでSecretを参照するPodを作成できます。

例:

cat <<EOF > pod.yaml
apiVersion: v1
kind: Pod
metadata:
  name: foo
  namespace: awesomeapps
spec:
  containers:
    - name: foo
      image: janedoe/awesomeapp:v1
  imagePullSecrets:
    - name: myregistrykey
EOF

cat <<EOF >> ./kustomization.yaml
resources:
- pod.yaml
EOF

これは、プライベートレジストリを使用する各Podで行う必要があります。

ただし、この項目の設定はServiceAccountリソースの中でimagePullSecretsを指定することで自動化することができます。

詳細の手順は、ImagePullSecretsをService Accountに追加するをクリックしてください。

これを各Nodeの.docker/config.jsonに組み合わせて利用できます。認証情報はマージされます。

ユースケース

プライベートレジストリを設定するためのソリューションはいくつかあります。ここでは、いくつかの一般的なユースケースと推奨される解決方法を示します。

  1. クラスターに独自仕様でない(例えば、オープンソース)イメージだけを実行する。イメージを非公開にする必要がない
    • Docker hubのパブリックイメージを利用する
      • 設定は必要ない
      • クラウドプロバイダーによっては、可用性の向上とイメージをPullする時間を短くする為に、自動的にキャッシュやミラーされたパプリックイメージが提供される
  2. 社外には非公開の必要があるが、すべてのクラスター利用者には見せてよい独自仕様のイメージをクラスターで実行している
    • ホストされたプライペートな Dockerレジストリを使用
      • Docker Hubまたは他の場所の上でホストされている場合がある
      • 上記のように各Node上のdocker/config.jsonを手動で構成する
    • または、オープンな読み取りアクセスを許可したファイヤーウォールの背後で内部向けプライベートレジストリを実行する
      • Kubernetesの設定は必要ない
    • イメージへのアクセスを制御できるホストされたコンテナイメージレジストリサービスを利用する
      • Nodeを手動設定するよりもクラスターのオートスケーリングのほうがうまく機能する
    • また、Node設定変更を自由にできないクラスターではimagePullSecretsを使用する
  3. 独自仕様のイメージを含むクラスターで、いくつかは厳格なアクセス制御が必要である
    • AlwaysPullImagesアドミッションコントローラーが有効化かを確認する必要がある。さもないと、全部のPodがすべてのイメージへのアクセスができてしまう可能性がある
    • 機密データはイメージに含めてしまうのではなく、"Secret"リソースに移行する
  4. それぞれのテナントが独自のプライベートレジストリを必要とするマルチテナントのクラスターである
    • AlwaysPullImagesアドミッションコントローラーが有効化を確認する必要がある。さもないと、すべてのテナントの全Podが全部のイメージにアクセスできてしまう可能性がある
    • 認証が必要なプライベートレジストリを実行する
    • それぞれのテナントでレジストリ認証を生成し、Secretへ設定し、各テナントのNamespaceに追加する
    • テナントは、Secretを各NamespaceのimagePullSecretsへ追加する

複数のレジストリへのアクセスが必要な場合、それぞれのレジストリ毎にひとつのSecretを作成する事ができます。 Kubeletは複数のimagePullSecretsを単一の仮想的な.docker/config.jsonにマージします。

次の項目

3 - コンテナ環境

このページでは、コンテナ環境で利用可能なリソースについて説明します。

コンテナ環境

Kubernetesはコンテナにいくつかの重要なリソースを提供します。

  • イメージと1つ以上のボリュームの組み合わせのファイルシステム
  • コンテナ自体に関する情報
  • クラスター内の他のオブジェクトに関する情報

コンテナ情報

コンテナの ホスト名 は、コンテナが実行されているPodの名前です。 ホスト名はhostnameコマンドまたはlibcのgethostname関数呼び出しにより利用可能です。

Podの名前と名前空間はdownward APIを通じて環境変数として利用可能です。

Pod定義からのユーザー定義の環境変数もコンテナで利用できます。 Dockerイメージで静的に指定されている環境変数も同様です。

クラスター情報

コンテナの作成時に実行されていたすべてのサービスのリストは、環境変数として使用できます。 これらの環境変数はDockerリンクの構文と一致します。

bar という名前のコンテナに対応する foo という名前のサービスの場合、以下の変数が定義されています。

FOO_SERVICE_HOST=<サービスが実行されているホスト>
FOO_SERVICE_PORT=<サービスが実行されているポート>

サービスは専用のIPアドレスを持ち、DNSアドオンが有効の場合、DNSを介してコンテナで利用可能です。

次の項目

4 - ランタイムクラス(Runtime Class)

FEATURE STATE: Kubernetes v1.14 [beta]

このページではRuntimeClassリソースと、runtimeセクションのメカニズムについて説明します。

RuntimeClassはコンテナランタイムの設定を選択するための機能です。そのコンテナランタイム設定はPodのコンテナを稼働させるために使われます。

RuntimeClassを使う動機

異なるPodに異なるRuntimeClassを設定することで、パフォーマンスとセキュリティのバランスをとることができます。例えば、ワークロードの一部に高レベルの情報セキュリティ保証が必要な場合、ハードウェア仮想化を使用するコンテナランタイムで実行されるようにそれらのPodをスケジュールすることを選択できます。その後、追加のオーバーヘッドを犠牲にして、代替ランタイムをさらに分離することでメリットが得られます。

RuntimeClassを使用して、コンテナランタイムは同じで設定が異なるPodを実行することもできます。

セットアップ

RuntimeClass機能のフィーチャーゲートが有効になっていることを確認してください(デフォルトで有効です)。フィーチャーゲートを有効にする方法については、フィーチャーゲートを参照してください。 そのRuntimeClassのフィーチャーゲートはApiServerとkubeletのどちらも有効になっていなければなりません。

  1. ノード上でCRI実装を設定する。(ランタイムに依存)
  2. 対応するRuntimeClassリソースを作成する。

1. ノード上でCRI実装を設定する

RuntimeClassを通じて利用可能な設定はContainer Runtime Interface (CRI)の実装依存となります。 ユーザーの環境のCRI実装の設定方法は、対応するドキュメント(下記)を参照ください。

備考: RuntimeClassは、クラスター全体で同じ種類のノード設定であることを仮定しています。(これは全てのノードがコンテナランタイムに関して同じ方法で構成されていることを意味します)。 設定が異なるノードをサポートするには、スケジューリングを参照してください。

RuntimeClassの設定は、RuntimeClassによって参照されるハンドラー名を持ちます。そのハンドラーは正式なDNS-1123に準拠する形式のラベルでなくてはなりません(英数字 + -の文字で構成されます)。

2. 対応するRuntimeClassリソースを作成する

ステップ1にて設定する各項目は、関連するハンドラー 名を持ちます。それはどの設定かを指定するものです。各ハンドラーにおいて、対応するRuntimeClassオブジェクトが作成されます。

そのRuntimeClassリソースは現時点で2つの重要なフィールドを持ちます。それはRuntimeClassの名前(metadata.name)とハンドラー(handler)です。そのオブジェクトの定義は下記のようになります。

apiVersion: node.k8s.io/v1beta1  # RuntimeClassはnode.k8s.ioというAPIグループで定義されます。
kind: RuntimeClass
metadata:
  name: myclass  # RuntimeClass名
  # RuntimeClassはネームスペースなしのリソースです。
handler: myconfiguration  # 対応するCRI設定

RuntimeClassオブジェクトの名前はDNSサブドメイン名に従う必要があります。

備考: RuntimeClassの書き込み操作(create/update/patch/delete)はクラスター管理者のみに制限されることを推奨します。 これはたいていデフォルトで有効となっています。さらなる詳細に関してはAuthorization Overviewを参照してください。

使用例

一度RuntimeClassがクラスターに対して設定されると、それを使用するのは非常に簡単です。PodSpecのruntimeClassNameを指定してください。
例えば

apiVersion: v1
kind: Pod
metadata:
  name: mypod
spec:
  runtimeClassName: myclass
  # ...

これは、Kubeletに対してPodを稼働させるためのRuntimeClassを使うように指示します。もし設定されたRuntimeClassが存在しない場合や、CRIが対応するハンドラーを実行できない場合、そのPodはFailedというフェーズになります。 エラーメッセージに関しては対応するイベントを参照して下さい。

もしruntimeClassNameが指定されていない場合、デフォルトのRuntimeHandlerが使用され、これはRuntimeClassの機能が無効であるときのふるまいと同じものとなります。

CRIの設定

CRIランタイムのセットアップに関するさらなる詳細は、CRIのインストールを参照してください。

dockershim

Kubernetesのビルトインのdockershim CRIは、ランタイムハンドラーをサポートしていません。

containerd

ランタイムハンドラーは、/etc/containerd/config.tomlにあるcontainerdの設定ファイルにより設定されます。 正しいハンドラーは、そのruntimeセクションで設定されます。

[plugins.cri.containerd.runtimes.${HANDLER_NAME}]

containerdの設定に関する詳細なドキュメントは下記を参照してください。
https://github.com/containerd/cri/blob/master/docs/config.md

CRI-O

ランタイムハンドラーは、/etc/crio/crio.confにあるCRI-Oの設定ファイルにより設定されます。 正しいハンドラーはcrio.runtime tableで設定されます。

[crio.runtime.runtimes.${HANDLER_NAME}]
  runtime_path = "${PATH_TO_BINARY}"

詳細はCRI-Oの設定に関するドキュメントを参照してください。

スケジューリング

FEATURE STATE: Kubernetes v1.16 [beta]

Kubernetes 1.16では、RuntimeClassはschedulingフィールドを使ったクラスター内での異なる設定をサポートしています。 このフィールドによって、設定されたRuntimeClassをサポートするノードに対してPodがスケジュールされることを保証できます。 スケジューリングをサポートするためにはRuntimeClass アドミッションコントローラーを有効にしなければなりません。(1.16ではデフォルトです)

特定のRuntimeClassをサポートしているノードへPodが配置されることを保証するために、各ノードはruntimeclass.scheduling.nodeSelectorフィールドによって選択される共通のラベルを持つべきです。 RuntimeClassのnodeSelectorはアドミッション機能によりPodのnodeSelectorに統合され、効率よくノードを選択します。 もし設定が衝突した場合は、Pod作成は拒否されるでしょう。

もしサポートされているノードが他のRuntimeClassのPodが稼働しないようにtaint付与されていた場合、RuntimeClassに対してtolerationsを付与することができます。 nodeSelectorと同様に、tolerationsはPodのtolerationsにアドミッション機能によって統合され、効率よく許容されたノードを選択します。

ノードの選択とtolerationsについての詳細はノード上へのPodのスケジューリングを参照してください。

Podオーバーヘッド

FEATURE STATE: Kubernetes v1.18 [beta]

Podが稼働する時に関連する_オーバーヘッド_リソースを指定できます。オーバーヘッドを宣言すると、クラスター(スケジューラーを含む)がPodとリソースに関する決定を行うときにオーバーヘッドを考慮することができます。 Podオーバーヘッドを使うためには、PodOverheadフィーチャーゲートを有効にしなければなりません。(デフォルトではonです)

PodのオーバーヘッドはRuntimeClass内のoverheadフィールドによって定義されます。 このフィールドを使用することで、RuntimeClassを使用して稼働するPodのオーバーヘッドを指定することができ、Kubernetes内部で使用されるオーバーヘッドを確保することができます。

次の項目

5 - コンテナライフサイクルフック

このページでは、kubeletにより管理されるコンテナがコンテナライフサイクルフックフレームワークを使用して、管理ライフサイクル中にイベントによって引き起こされたコードを実行する方法について説明します。

概要

Angularなどのコンポーネントライフサイクルフックを持つ多くのプログラミング言語フレームワークと同様に、Kubernetesはコンテナにライフサイクルフックを提供します。 フックにより、コンテナは管理ライフサイクル内のイベントを認識し、対応するライフサイクルフックが実行されたときにハンドラーに実装されたコードを実行できます。

コンテナフック

コンテナに公開されている2つのフックがあります。

PostStart

このフックはコンテナが作成された直後に実行されます。 しかし、フックがコンテナのENTRYPOINTの前に実行されるという保証はありません。 ハンドラーにパラメーターは渡されません。

PreStop

このフックは、liveness probeの失敗、プリエンプション、リソース競合などのAPI要求または管理イベントが原因でコンテナが終了する直前に呼び出されます。コンテナがすでに終了状態または完了状態にある場合、preStopフックの呼び出しは失敗します。 これはブロッキング、つまり同期的であるため、コンテナを削除するための呼び出しを送信する前に完了する必要があります。 ハンドラーにパラメーターは渡されません。

終了動作の詳細な説明は、Termination of Podsにあります。

フックハンドラーの実装

コンテナは、フックのハンドラーを実装して登録することでそのフックにアクセスできます。 コンテナに実装できるフックハンドラーは2種類あります。

  • Exec - コンテナのcgroupsと名前空間の中で、 pre-stop.shのような特定のコマンドを実行します。 コマンドによって消費されたリソースはコンテナに対してカウントされます。
  • HTTP - コンテナ上の特定のエンドポイントに対してHTTP要求を実行します。

フックハンドラーの実行

コンテナライフサイクル管理フックが呼び出されると、Kubernetes管理システムはそのフック用に登録されたコンテナ内のハンドラーを実行します。

フックハンドラーの呼び出しは、コンテナを含むPodのコンテキスト内で同期しています。 これは、PostStartフックの場合、コンテナのENTRYPOINTとフックは非同期に起動することを意味します。 しかし、フックの実行に時間がかかりすぎたりハングしたりすると、コンテナはrunning状態になることができません。

その振る舞いは PreStopフックに似ています。 実行中にフックがハングした場合、PodフェーズはTerminating状態に留まり、PodのterminationGracePeriodSecondsが終了した後に終了します。 PostStartまたはPreStopフックが失敗した場合、コンテナを強制終了します。

ユーザーはフックハンドラーをできるだけ軽量にするべきです。 ただし、コンテナを停止する前に状態を保存する場合など、長時間実行されるコマンドが意味をなす場合があります。

フック配送保証

フックの配送は 少なくとも1回 を意図しています。これはフックがPostStartPreStopのような任意のイベントに対して複数回呼ばれることがあることを意味します。 これを正しく処理するのはフックの実装次第です。

通常、単一の配送のみが行われます。 たとえば、HTTPフックレシーバーがダウンしていてトラフィックを受け取れない場合、再送信は試みられません。 ただし、まれに二重配送が発生することがあります。 たとえば、フックの送信中にkubeletが再起動した場合、kubeletが起動した後にフックが再送信される可能性があります。

フックハンドラーのデバッグ

フックハンドラーのログは、Podのイベントには表示されません。 ハンドラーが何らかの理由で失敗した場合は、イベントをブロードキャストします。 PostStartの場合、これはFailedPostStartHookイベントで、PreStopの場合、これはFailedPreStopHookイベントです。 これらのイベントは kubectl describe pod <pod_name>を実行することで見ることができます。 このコマンドの実行によるイベントの出力例をいくつか示します。

Events:
  FirstSeen  LastSeen  Count  From                                                   SubObjectPath          Type      Reason               Message
  ---------  --------  -----  ----                                                   -------------          --------  ------               -------
  1m         1m        1      {default-scheduler }                                                          Normal    Scheduled            Successfully assigned test-1730497541-cq1d2 to gke-test-cluster-default-pool-a07e5d30-siqd
  1m         1m        1      {kubelet gke-test-cluster-default-pool-a07e5d30-siqd}  spec.containers{main}  Normal    Pulling              pulling image "test:1.0"
  1m         1m        1      {kubelet gke-test-cluster-default-pool-a07e5d30-siqd}  spec.containers{main}  Normal    Created              Created container with docker id 5c6a256a2567; Security:[seccomp=unconfined]
  1m         1m        1      {kubelet gke-test-cluster-default-pool-a07e5d30-siqd}  spec.containers{main}  Normal    Pulled               Successfully pulled image "test:1.0"
  1m         1m        1      {kubelet gke-test-cluster-default-pool-a07e5d30-siqd}  spec.containers{main}  Normal    Started              Started container with docker id 5c6a256a2567
  38s        38s       1      {kubelet gke-test-cluster-default-pool-a07e5d30-siqd}  spec.containers{main}  Normal    Killing              Killing container with docker id 5c6a256a2567: PostStart handler: Error executing in Docker Container: 1
  37s        37s       1      {kubelet gke-test-cluster-default-pool-a07e5d30-siqd}  spec.containers{main}  Normal    Killing              Killing container with docker id 8df9fdfd7054: PostStart handler: Error executing in Docker Container: 1
  38s        37s       2      {kubelet gke-test-cluster-default-pool-a07e5d30-siqd}                         Warning   FailedSync           Error syncing pod, skipping: failed to "StartContainer" for "main" with RunContainerError: "PostStart handler: Error executing in Docker Container: 1"
  1m         22s       2      {kubelet gke-test-cluster-default-pool-a07e5d30-siqd}  spec.containers{main}  Warning   FailedPostStartHook

次の項目